オンラインカジノとは全然関係のない振り込みミスから端を発した事件で、オンラインカジノがあれこれ言われています。
オンラインカジノの決済代行会社が、4300万円余りの資金を町に返還したことで、今度は決済代行会社が「自分らが疑わしいと言っているようなもの」だとも言われています。
最初にきちんとしたいのは、決済代行会社は違法でもなんでもない正規の会社であることです。
決済代行会社とは
「クレジットカード決済や電子マネー決済などの決済手段を導入したいECサイトなどの事業者とカード会社などの決済機関を仲介し、決済システムを提供している会社です。」
「決済代行会社では、クレジットカード決済をはじめ、銀行振込、コンビニ決済、携帯キャリア決済、電子マネー決済、QRコード決済などにも対応している会社が増えています。」
(※ 出典 三井住友カード)
普段何気なく使っているクレジットカードですが、間には決済代行会社が必ず入っています。クレジットカードを使えば、後日決済代行会社から販売店に代金が支払われます。
こんな会社は日本にいくつもあります。また、クレジットカードばかりではありません。銀行振込でも決済代行会社が入る場合があります。
今話題になっているのは、オンラインカジノで入出金を銀行決済するときに使う決済代行会社ですが、海外への送金が簡単にできるのが特徴です。
例えば、海外のオンラインカジノへ送金したい人が、決済代行会社の日本の銀行口座に振り込むと、その決済代行会社と契約している海外のオンラインカジノに送金が行われ、オンラインカジノでは送金が確認されたらアカウントに残高が表示されます。
所要時間は1~2営業日です。
本来の海外送金は、相手がオンラインカジノでなくても、普通に行われる手段です。ただし、銀行窓口で大変に面倒な手続きと手数料を要します。
海外にいる家族に普通に生活費を銀行から送金しようとすると窓口にいかなければならず、書類を書くだけでも大変な目に合うことは、経験した人はご存知でしょう。手数料も数千円かかります。
なので、決済代行会社というのは、オンラインカジノに限らず、海外のECサイトに送金しようとするときにとても便利な手段にすぎないのです。
ネットニュースのフェイクにご注意
事実を知らない人が自分の考えだけで物を言うのは本当に困りものです。
特にご意見番を気取る芸能人や、世間を驚かそうとするジャーナリストなど、根拠のない個人の「意見」であっても、それを信じてしまう人が多いのが逆に怖いのです。
ネットニュースを見ると『賭博が違法である日本の銀行からの直接振り込みは基本的には出来ない。海外に口座を設けて入出金する必要がある』などというような記述もあります。
日本の銀行から海外の会社に送金することは違法ではありませんし、合法的にできます。それがオンラインカジノであってもです。
(※ 銀行の考え方として拒否される場合はあります。)
なぜなら、海外の合法的に運営しているオンラインカジノは、その国では適法であるからです。
また、「日本から海外のオンラインカジノを利用することは違法」といった記事もさんざん見かけますが、これも何度も言っていますが、「違法」という根拠がありません。
刑法の賭博罪などは日本国内で開かれている賭博だけに適用されるもので、海外のオンラインカジノを日本から利用することを禁じる法律は、今の時点で存在しません。
刑法の知識がないか、または違法性をことさら強調したいという意思を持った発言と思われます。
決済代行会社が返金したのが怪しいというフェイク
誤送金を手にした例の人からの、オンラインカジノへの送金を受けつけた決済代行会社は、若狭勝弁護士が言うように「犯罪のお金だと分かっていながらそのまま保管していると、代行会社自体が刑法で罪に問われる」可能性があると判断して返金したものと思われます。
具体的に決済代行会社は捜査機関から容疑をかけられているわけではありませんし、日本ではオンラインカジノ利用者が多い良い市場なので、この市場を閉鎖されるような動きが出てくるのを恐れたためと思われます。
たまたま事件では、違法に入手した資金を事件の当事者が決済代行会社にオンラインカジノへの送金のために資金を送ったため、日本国内にある決済代行会社に資金の返還を求めました。
海外のオンラインカジノ事業者に、国内法に基づいて資金の返還を求めることはできませんから。
返還請求の理由は、オンラインカジノの違法性ではなく、事件の当事者の納税漏れ(国民健康保険税を滞納)のために地方税法と国税徴収法に基づいて当事者の資金を差し押さえたものです。
ただし、担当弁護士が公序良俗に反して契約は無効ではないかという圧力をかけたため、資金の返還に応じたのでしょうね。
公序良俗に反しているかどうかは民事裁判で長期間かけて審議が行われ、場合によっては最高裁まで行けば、決済代行会社にとっては大変な負担ですから、これを避けたいという思いは当然にあるでしょう。
これは大人の世界の話です。
これを言い出すと公営ギャンブルだって公序良俗に反するんじゃないかと言う話になります。
また、誤送金を手にした当事者が決済代行会社に資金をプールしたんじゃないかという説も出ていますが、そのようなことができないシステムなのは、実際にオンラインカジノへ送金した人がよく知っています。
オンラインカジノへの送金はすでに行われていると考えるのが妥当です。海外のオンラインカジノのアカウントには資金が入っているのでしょう。
それをどうするのかはわかりません。
こんなことでオンラインカジノの違法性を問われるのは困った話です。
今の時点で、海外のオンラインカジノを日本から利用することの違法性は、捜査機関では問題になっていません。
あくまでもグレーゾーンと理解して、情報を正確につかんで行動しましょう。